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関西地方のM&A動向と事業承継に関して、地域特性や事例を解説

関西地域では、中小企業の経営者高齢化や後継者不在が深刻な課題となっています。大阪・京都・兵庫を中心とした近畿圏では、事業承継の「出口戦略」としてM&A(企業の合併・買収)を活用する動きが年々加速しています。一方で、地域特有の商習慣や業種構造、後継者の意識ギャップといった課題も存在し、成功の鍵を握るのは「地域理解」と「専門性をもった支援」です。

本記事では、関西圏のM&A市場の実態と事例、今後の展望、実務上の流れから仲介会社選びのポイントまでを整理し、最後に「たすき」の支援体制についてもご紹介します。後継者問題に悩む中小企業の経営者の方にとって、実践的な気づきと行動のヒントとなる内容をお届けします。

【記事提供:株式会社たすきコンサルティング】
中小企業の事業承継を支援するM&A仲介会社であり、約20年の財務コンサルティング実績を有する。公認会計士や税理士、中小企業診断士などの専門家が在籍し、全国規模で中小企業のM&Aをサポートしております。 
※中小企業庁「M&A支援機関登録制度」登録済み
※一般社団法人「M&A支援機関協会」登録済み

関西地方のM&A動向

近畿圏におけるM&A件数は増加傾向あり、後継者不在企業の売却による譲渡が急増しています。(出典:関西経済産業局

地域別の傾向

  • 大阪府:飲食・サービス業のM&Aが顕著。都市型業態が多く、コロナ後の業績回復を狙った売却も多い。
  • 京都府:伝統製造業の承継需要が目立つ。家業志向が強い一方、近年は外資とのマッチングも進む。
  • 兵庫県:製造・介護・物流など多様な産業において、成長戦略としてのM&Aが拡大。
  • 滋賀・奈良・和歌山:農業・食品加工・観光業など地方型産業における「第三者承継」が課題。

関西地方のM&A課題

1.後継者不在率の高さ

全国平均でも問題視される後継者不在問題だが、近畿地方では70歳以上の経営者のうち約半数が後継者未定(中小企業庁)。このままでは2025年までに、関西だけで約4兆円のGDP・118万人の雇用喪失が懸念されています。

2.地域独特の商慣習

「血縁承継を重要視する」「他人に会社を任せたくない」といった意識が根強く、外部承継=M&Aを避ける傾向が一部地域で見られます。家業文化が根深く、承継の壁が厚いとされます。

3.地元金融機関との連携不足

都市圏では金融機関がM&Aを積極支援するケースも増えていますが、地方ではM&Aノウハウを持つ担当者が不足。地元商工会議所や士業との連携体制が不十分であることも課題です。

関西地方のM&A事例

■ BuySell Technologiesによるレクストホールディングスの完全子会社化(2024年10月)

総合リユース事業を展開するBuySell Technologies(東京都)は、リユース企業7社を傘下に持つレクストホールディングス(大阪市)を完全子会社化しました。これにより、出張訪問買取事業の強化と、約66兆円とされる「かくれ資産」市場へのアプローチを一層強化しています。
出典:BuySell Technologies プレスリリース

■ 南海電気鉄道による明光バスの子会社化(2024年10月)

南海電気鉄道(大阪市)は、和歌山県で路線バスや貸切バスを運行する明光バスの株式を取得し、出資比率を17.6%から72.9%に引き上げました。これにより、和歌山エリアでのツーリズム関連事業の強化と、地域振興を図っています。
出典:南海電気鉄道 プレスリリース

■ 昭光ハイポリマーによる高分子商事の買収(2024年8月)

昭光通商グループの昭光ハイポリマー(東京都)は、大阪市に本社を置く高分子商事の全株式を取得しました。両社の取り扱い商品や取引先の共通性を活かし、OEMや自社ブランド商品の開発・販売を強化することで、顧客へのサービス向上と事業規模の拡大を図っています。
出典:昭光通商 プレスリリース

■ イボキンによるミツエの子会社化(2024年10月)

イボキン(兵庫県)は、解体事業やアスベスト除去事業を手がけるミツエの株式を取得し、子会社化しました。これにより、関西圏での解体施工能力を強化し、企業価値の向上を目指しています。
出典:イボキン プレスリリース

関西地方の今後の展望

自治体による支援策の拡充

関西の各府県では、中小企業の事業承継を支援するための自治体主導の取り組みが活発化しています
大阪商工会議所や兵庫県商工会連合会が「事業承継マッチング」などを実施。滋賀県では商工会が主導する無料相談制度も普及。

中小企業庁の補助金制度

  • 事業承継・引継ぎ補助金(最大600万円):M&Aによる第三者承継や廃業支援のために活用可能。買手・売手両方を支援対象とし、専門家費用や設備投資費用なども補助対象に含まれます。
  • 経営資源引継支援事業:M&A支援機関(登録仲介者など)を通じたサポートを条件に、譲渡企業・譲受企業双方に対して支援金が提供される制度。後継者未定企業の円滑な譲渡を目的とし、全国で利用が拡大しています。

これらの制度は、関西地方でも積極的に活用されており、補助金をきっかけに譲渡を決断する企業も少なくありません。

製造・医療・建設業の再編加速

関西地方においては、2025年の大阪・関西万博やIR(統合型リゾート)構想を控え、インフラ関連や地域医療・建設分野でのM&A再編が顕著になっています。

  • 製造業:大阪・堺・東大阪などの金属加工・機械部品業者が後継者難を背景に売却を検討するケースが増加。成長企業による連携・集約が進み、広域ネットワーク化が進展中です。
  • 医療・介護分野:高齢化の加速により、クリニック・訪問看護・介護事業者などが経営統合・M&Aを通じて包括ケア体制の強化を図っています。特に神戸・宝塚・奈良など都市近郊エリアで動きが活発です。
  • 建設業:老舗建設企業や設備工事会社でのM&Aが進行。大阪万博会場周辺の再開発需要に応じて、スケール拡大や専門領域強化を目的とした合併・譲渡が複数報告されています。

これらの業種は、地域経済と密接に結びついているため、M&Aによる統合・再編の成否が関西全体の成長を左右するといっても過言ではありません。

M&Aのメリット&デメリット

メリット

  • 後継者不在の根本的解決
  • 地域内の雇用・技術の維持
  • 売却益の確保による老後資金や再チャレンジの原資に
  • 成功すれば“会社と従業員を守る”責任ある選択

デメリット

  • PMI失敗による社員の離職・取引先離反
  • 情報漏洩・風評被害へのリスク(秘密保持の徹底が必要)
  • 税務・法務リスク(専門家のサポート必須)

M&Aの主要な流れ

  • 準備段階:自社分析(財務、顧客構成、競争力)と経営者の意思整理
  • 仲介会社との連携:業界理解のある専門家と戦略を設計
  • 買い手探索・マッチング:レコメンド・匿名打診・トップ面談など
  • 基本合意書の締結:大まかな条件と進行スケジュールを合意
  • デューデリジェンス(精査):財務・法務・労務リスクの洗い出し
  • 最終契約・クロージング:契約調印と対価の決済・引継ぎ開始
  • PMI(統合プロセス):経営統合・人材定着・業務移行の支援

M&Aの相談先と仲介会社の選び方

M&Aや事業承継を検討する際、「誰に相談すべきか」が最初の大きなハードルとなります。相談先には、以下のような選択肢があります。

  • 地元の商工会・商工会議所(無料相談窓口や後継者人材バンクを設置)
  • 地域金融機関(信用金庫や地銀によるマッチング支援)
  • 税理士や弁護士などの顧問士業(初期相談やスキーム提案)
  • M&A専門の仲介会社・アドバイザー(全国対応から地域密着型まで多様)

この中でも、特に第三者への譲渡やスピーディーな進行を望む場合は、専門性があり多くの買手企業を保有しているM&A専門の仲介会社が頼れるパートナーになります。とはいえ、仲介会社も様々であり、成功に導くには“どこを選ぶか”が極めて重要です。以下に、仲介会社を選ぶ際のポイントを整理します。

M&A仲介会社の選び方

仲介会社は単なる“情報提供者”ではなく、経営者の想いや背景をくみ取り、譲渡の条件整理から交渉、成約後のフォローまで寄り添ってくれる重要な存在です。
正しい相手と組めば、成約までのスピード感が高まり、条件面でも納得感のあるM&Aが実現しやすくなります。

  • 地域密着の支援体制
  • 経験豊かなアドバイザー(製造、医療、建設など)
  • 中小企業M&Aガイドラインの遵守
  • PMI支援まで含めたフルサポート体制
  • 初回相談無料・完全成功報酬制などの料金設計の明瞭さ

M&A・事業承継なら「たすきコンサルティング」

中小企業の事業承継を支援するM&A仲介会社であり、約20年の財務コンサルティング実績を有しております。公認会計士や税理士、中小企業診断士などの専門家が在籍し、全国規模で中小企業のM&Aをサポートしております。


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たすきコンサルティング大阪支店 支店長
白井 智嗣

銀行勤務の後、大手M&A仲介会社に入社。西日本全域を主な活動拠点とし、様々なスキーム立案による解決を行う。その後は別のM&A仲介会社に転職し、2022年には営業成績優秀者で表彰。全国でセミナー・講演も数多く実施。50件以上のM&A成約に携わる。2024年より、たすきコンサルティングに入社。


まとめ

関西地域の中小企業は、後継者不在という大きな転機を迎えています。その中で、M&Aという選択肢が、会社と社員、地域経済を守る現実的な手段として注目を集めています。「たすきコンサルティング」では、地域に根差した知見と支援体制で、オーナー経営者の想いに寄り添ったM&Aを実現しています。将来の選択肢を今のうちから広げたい方は、ぜひ一度ご相談ください。


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