M&Aを選択するメリットとは?事業承継時のM&Aのサービス提供方法について解説

事業承継(譲渡・売却)を考えたとき、近年注目されている選択肢のひとつが「M&A」です。
M&Aを活用すれば、会社の存続や従業員の雇用を守りながら、次世代へスムーズに事業を引き継ぐことが可能になります。
しかし、「M&Aにはどんなメリットがあるのか?」「成功させるためにどんなサービスを活用すればよいのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、M&Aのメリットや成功するための進め方・活用すべきサービスについて、事業承継を検討している経営者の方に向けて詳しく解説します。
目次
M&Aを選択するメリットとは?
M&Aを選択するメリットはさまざまあります。譲渡企業側(売主)の立場で見たときの代表的な4つと譲受企業側(買主)の立場で見たときの代表的な3つをご紹介します。
譲渡側(売主)のメリット
- 後継者問題の解決
- 会社の存続と雇用維持
- 経営者の引退後の資金確保
- 新たな成長機会の提供
まず、最大の利点は後継者問題の解決です。
親族や社内に適任の後継者が見つからない場合でも、第三者への事業承継(M&A)を活用すれば、企業の存続が可能になります。
次に、会社の存続と従業員の雇用維持が挙げられます。
M&Aを通じて事業が継続されることで、従業員の雇用や取引先との信頼関係が守られ、地域社会への貢献も維持することができます。
また、経営者自身の引退後の生活資金確保という観点でもメリットがあります。
M&Aによって得られる売却益は、引退後の資金や新たな人生設計に活用することができ、経営者の人生の次のステージを支える資金源となります。
さらに、M&Aによって新たな成長機会が企業にもたらされる点も重要です。
譲受側(買主)の経営資源やネットワーク、ノウハウを活用することで、事業がより大きく成長する可能性もあります。
譲受側(買主側)のメリット
- 新市場や新事業領域への参入
- スピーディーな事業拡大
- 人材や技術力の確保
まず挙げられるのは、新市場や新事業領域へのスムーズな参入です。
M&Aによって既存企業を買収することで、その企業が持つ販路や顧客基盤を即座に獲得でき、市場参入のスピードが飛躍的に高まります。
また、事業拡大の迅速化という点でも大きな効果があります。
ゼロから新規事業を立ち上げる場合と比べて、すでにビジネスモデルやオペレーションが確立されている企業を買収すれば、短期間で事業規模の拡大や売上成長が期待できます。
さらに、人材や技術力の確保も重要なメリットのひとつです。
特に中小企業では、熟練した従業員や独自技術を持つ企業が多く存在します。
M&Aを通じてこれらの人的資源や技術を獲得することで、買主企業の競争力や付加価値が向上します。
このように、M&Aは単なる「規模の拡大」だけでなく、事業の質的向上やイノベーション推進にも寄与する重要な経営戦略のひとつとして、多くの企業に活用されています。
M&Aに伴うリスクと注意点
M&Aにはメリットが多くありますが、リスクや注意点も理解しておくことが重要です。
情報漏洩リスク
M&Aの交渉過程では、自社の財務情報・事業戦略・取引先情報など重要な機密情報を相手方や仲介者に開示する場面が発生します。
もしこの情報が外部に漏洩すると、従業員や取引先に不安を与えるだけでなく、競合他社に悪用されるリスクもあります。そのため、交渉開始時点で秘密保持契約(NDA)を必ず締結し、情報管理体制を徹底することが重要です。
従業員や取引先の不安感
M&Aの話が社内外に知れ渡ると、従業員が将来に不安を感じて離職したり、取引先との関係が悪化するリスクがあります。
特に、中小企業の場合は人間関係や信頼関係が強固なケースが多いため、こうした影響が出やすい傾向があります。段階的かつタイミングを見極めた情報開示(ステークホルダーコミュニケーション)が不可欠です。
買主との協議を通じて、従業員の雇用や条件維持方針を確認し、安心感を与える取り組みも求められます。
企業文化の違いによる摩擦
買収後の統合プロセス(PMI)において、譲渡企業と譲受企業の企業文化や組織風土の違いが摩擦を生むケースがあります。
たとえば、意思決定スピードや業務の進め方、管理体制などの違いから、従業員のモチベーション低下や離職につながる恐れもあります。このリスクを軽減するには、買収前の相互理解(文化面のデューデリジェンス)をしっかり行い、買収後に丁寧な組織融合策を講じることが重要です。
適正な価格評価の難しさ
中小企業M&Aでは、企業価値の評価(バリュエーション)が難しいことがあります。
とくに「目に見える資産」だけでなく、ノウハウや取引先との関係、ブランド価値、人材の質といった「目に見えない価値(のれん)」をどのように評価するかが課題になります。
過大評価・過小評価は、成約後のトラブルや不満の原因になりやすいため、信頼できる専門家(M&Aアドバイザーや公認会計士など)に企業価値評価を依頼し、客観的な根拠に基づいた価格交渉を行うことが大切です。
M&Aを成功させるためのサービス活用法
M&Aは、自社だけで進めるには専門性や手続きが非常に複雑な取引です。成功のためには、信頼できる外部サービスや専門家のサポートを適切に活用することが重要です。ここでは、活用すべき主なサービスとその役割をご紹介します。
M&A仲介会社・FA(フィナンシャルアドバイザー)
【役割】
- 買手・売手のマッチング(相手先候補の発掘)
- 交渉支援(条件調整、価格交渉)
- 契約締結までのプロセス管理
【活用ポイント】
M&A仲介会社やFAは、経験豊富な専門家が多数の案件実績を持っているため、自社だけでは接点がない相手先との出会いが期待できます。
また、第三者的な立場で価格や条件交渉を進めてくれるため、当事者同士の感情的な対立を防ぎ、スムーズな成約を実現できます。
※ 中小企業向けM&A仲介に強い会社を選ぶと、事業規模や地域性に応じたきめ細かな支援が受けられます。
M&Aコンサルタントがサービスを提供する場合には、「仲介方式」 と「アドバイザリー形式(FA)」の2つの方法があります。
■ 仲介方式
M&A仲介会社が売り手と買い手の双方に関与し、両者の取引を成立させるための橋渡し役を担います。仲介会社は中立の立場で取引を進めます。一般的には、中小企業のM&Aの場合には、仲介方式で行う例が多いです。

■ アドバイザリー方式(FA)
M&Aのアドバイザーが売り手または買い手の一方に専属で付き、顧客の利益を最大化するために助言やサポートを提供します。

事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)
【役割】
- 中小企業庁が全国47都道府県に設置している公的支援機関
- 無料で相談可能
- 売手・買手企業のマッチング支援
- 専門家派遣(士業など)によるサポート
【活用ポイント】
初めてM&Aを検討する経営者様にとって、公的な中立的機関で相談できるのは大きな安心材料となります。
仲介会社に依頼する前の情報収集や方向性の整理にも適しています。費用面の負担が少なく、公正な支援を受けられるのがメリットです。
士業(税理士・弁護士・司法書士など)
【役割】
- 税務リスクの確認・節税対策(税理士)
- 契約書のリーガルチェック(弁護士)
- 会社登記や法的手続きの支援(司法書士)
【活用ポイント】
M&Aは、税金・法律・登記など多方面のリスクが絡むため、士業との連携が不可欠です。
特に、税務面(譲渡益課税、事業承継税制)や契約書作成はプロの知見が必要です。
M&A仲介会社と士業が連携することで、リスクを最小限に抑えた安全な取引が可能になります。
金融機関・地方銀行
【役割】
- M&Aの情報提供・相手紹介
- ファイナンス(買収資金の調達支援)
【活用ポイント】
地方銀行や信用金庫も近年M&A支援に積極的であり、地域の企業ネットワークを活かした相手紹介が期待できます。
また、買収資金の融資や資金計画のサポートも行ってくれるため、資金面の不安を解消できます。
まとめ│M&Aのメリットを活かして円滑な事業承継を
M&Aは、事業承継の課題を解決する有力な選択肢であり、売主・買主双方にとって多くのメリットがあります。一方で、適切な準備や信頼できる支援サービスの活用が不可欠です。
当社では、中小企業の事業承継に特化したM&A・事業承継のサポートを提供しております。貴社のご状況に合わせた最適なアドバイスと実務支援が可能です。
M&A・事業承継をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
当社では、M&Aに精通した経験豊富なコンサルタントが在籍しております。 是非、コンサルタントとの無料相談をご活用ください。
株式会社たすきコンサルティング
お電話でのお問合せ ➿0120-007-888