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日本のM&A市場規模はどう推移している?事業承継を検討する方のための最新市場動向

近年、日本国内のM&A市場は堅調な成長を続けており、特に中小企業の事業承継(譲渡・売却)目的の案件が大きく増加しています。
中小企業庁の資料によれば、国内企業の約3分の1が後継者問題を抱えており、「第三者承継(M&A)」を選択肢に加える企業が急増中です。

【出典:中小企業白書 2024年度版

しかし一方で、
「今、M&A市場はどのような状況なのか?」
「売却するなら今が良いタイミングなのか?」
と迷われている経営者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、日本のM&A市場規模や動向、業界別のトレンド、今後の展望までわかりやすく解説します。
事業承継・売却をご検討中の方が、最適な判断ができる情報源として、ぜひ最後までご覧ください。

日本のM&A市場とは?

M&Aとは、企業の経営権や資産を譲渡・取得する取引を指します。 特に日本国内では、後継者問題に対応する「事業承継型M&A」の件数が年々増加傾向にあります。

■ 事業承継型M&Aが増えている背景

① 経営者の高齢化と後継者不足

日本の中小企業の経営者は、平均年齢が62歳を超えており、今後5~10年以内に大量の「事業承継時期」を迎える企業が急増しています。
しかし、約65%の中小企業が後継者未定という状況にあり、親族承継や社内昇格による承継が難しいケースが増えています。

そこで、第三者へのM&Aという「新たな選択肢」が注目されています。これにより、事業の継続や雇用の維持が可能になるため、多くの企業がM&Aを検討するようになっています。

【出典:中小企業庁「中小企業白書 2024年度版」

② 事業承継支援制度や税制優遇の整備

国もこの流れを後押ししており、事業承継税制の特例措置や中小企業庁によるM&A支援事業、事業承継・引継ぎ支援センターの全国整備など、制度面の環境が整ってきました。

以前に比べて「M&Aに対する心理的なハードル」が下がり、安心してM&Aを検討できる土壌が整っていることも、利用拡大の大きな理由の一つです。

③ 地域経済や雇用を守る「社会的意義」への理解が広がった

M&Aは単なる「売却」ではなく、地域に根ざした企業の存続・雇用維持に大きな意味を持つ選択肢です。
地方銀行や商工会議所・自治体も積極的に「地域M&A」の支援を行うケースが増えており、社会全体でM&Aを前向きにとらえる意識が強まっています。

こうした社会的な理解の進展も、事業承継型M&Aの普及に拍車をかけています。

M&A市場規模の推移(2020年~2024年)

年度M&A件数備考
2020年3,730件新型コロナウイルスの影響で一時的に減少
2021年4,280件経済活動の再開により増加
2022年4,304件安定的な推移
2023年4,015件若干の減少傾向
2024年4,700件中小企業の事業承継ニーズが継続

【出典:M&A専門誌マール 2025年2月号 通巻364号

事業承継市場におけるM&Aの注目トレンド

小規模事業者のM&A利用増加

近年、年商1億円未満の小規模事業者によるM&A活用が増加しています。
背景には、家族内承継の難航や地元での後継者不足があります。以前は「小さすぎてM&Aにならない」と言われた規模でも、個人事業主・小規模法人のM&Aマッチングプラットフォームや専門仲介の登場により、実現件数が大きく伸びています。

たとえば東京商工リサーチによれば、2024年の倒産企業のうち「後継者難」型倒産は454件に上り、特に小規模企業での事業承継ニーズが顕在化しています。

【出典:2024年度の「後継者難」倒産│東京商工リサーチ

「第三者承継」の活用事例増

親族内承継が減少する一方で、「第三者承継(M&A)」の活用事例は大幅に増加しています。中小企業白書2024年版でも、約65%の中小企業が後継者未定であり、「親族外への承継(第三者M&A)」が主流となりつつある状況が示されています。

銀行や信用金庫、商工会議所、事業承継・引継ぎ支援センターなどが公的なM&Aマッチング支援を活発化させており、「売り手と買い手の間に公平な支援者が入る」形が一般化しています。安心して第三者承継に踏み出せる環境整備が進んでいることが、実際の活用増加に繋がっています。

【出典:中小企業庁「中小企業白書 2024年度版」

地方創生型M&Aの広がり

地方自治体や地方銀行が中心となり、地域密着型の「地方創生M&A」の取り組みが全国で広がっています。たとえば、2023年以降、地域金融機関によるM&A支援部門の新設や、県単位・市町村単位での事業承継支援補助金制度が増加。また、事業承継・引継ぎ支援センターが全国47都道府県に整備され、地方都市でもM&A事例が急増しています。

地域経済にとって「地元の企業や雇用を残す手段」として、M&Aが積極的に活用されているのが近年の大きなトレンドです。

【出典:中小企業庁「事業承継・引継ぎ支援事業」

2025年版│M&A市場を取り巻く制度・法改正の動き

中小M&Aガイドラインの改訂と遵守強化

中小企業庁は、2024年8月に「中小M&Aガイドライン 第3版」を公表しました。この改訂では、M&A支援機関に対する手数料の透明化や利益相反の防止など、支援機関の行動規範が明確化されました。2025年度は、登録支援機関に対してガイドラインの遵守状況の確認や支援状況のモニタリングが強化されています。

【出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」

M&A支援機関登録制度の運用強化

2021年度に開始された「M&A支援機関登録制度」は、2025年度も引き続き運用が強化されています。登録支援機関に対しては、ガイドラインの遵守状況の確認や支援状況のモニタリングが行われ、質の高い支援の提供が求められています。

【出典:中小企業庁「令和7年度 中小企業活性化・事業承継総合支援事業」

事業承継税制(法人版)の適用期限迫る

非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予・免除を受けられる「法人版事業承継税制(特例措置)」の適用期限が、2025年度末(2026年3月31日)に迫っています。この制度を活用することで、事業承継時の税負担を軽減することが可能です。

【出典:中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」

中堅・中小グループ化税制の導入

2024年度より、「中堅・中小グループ化税制」が導入されました。これにより、M&Aを通じてグループ化した中堅・中小企業に対して、一定の税制上の優遇措置が適用されるようになりました。

【出典:中小企業庁「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」

今後のM&A市場の展望

中小企業の事業承継ニーズの高まり

中小企業庁の「中小企業白書2024年版」によれば、日本の中小企業経営者の平均年齢は62歳を超えており、今後5~10年以内に大量の「事業承継時期」を迎える企業が急増しています。しかし、約65%の中小企業が後継者未定という状況にあり、親族承継や社内昇格による承継が難しいケースが増えています。

【出典:中小企業庁「中小企業白書 2024年度版」

地方企業への関心の高まり

地域経済の維持と活性化のため、地方自治体や地方銀行が中心となり、地域密着型の「地方創生M&A」の取り組みが全国で広がっています。たとえば、2023年以降、地域金融機関によるM&A支援部門の新設や、県単位・市町村単位での事業承継支援補助金制度が増加しています。また、事業承継・引継ぎ支援センターが全国47都道府県に整備され、地方都市でもM&A事例が急増しています。

【出典:中小企業庁「事業承継・引継ぎ支援事業」

DX・AIを目的としたM&Aの増加

デジタル化が企業経営に大きな影響を与えており、DXを推進するためのM&Aが増加しています。企業が競争力を維持・強化するためには、最新のIT技術を活用することが不可欠であり、IT企業を買収し、自社内でDXを推進する動きが活発化しています。

ESG要素の重要性の高まり

環境・社会・ガバナンス(ESG)要素の重要性が高まり、環境対応や社会貢献活動に積極的な企業の評価が上がる傾向が強まっています。中小企業でも、こうした時代の要請に応える取り組みが企業価値向上につながります。

PMI(統合プロセス)の重要性

M&A後の統合プロセス(PMI)の成否が、M&A成功の分かれ目となっています。組織文化や業務フローの統合がうまくいかないと、離職や業績悪化のリスクが高まります。PMI人材の育成や外部専門家の活用が不可欠です。

まとめ│M&A市場動向を把握して最適な事業承継を

近年、M&A市場は安定した成長基調にあり、事業承継の有力な手段として多くの企業で活用されています。
特に、中小企業においては後継者不足の深刻化や地域経済を支える企業の存続という観点から、第三者承継(M&A)の重要性が一段と高まっています。

一方で、制度改正や市場動向は常に変化しており、最新の情報を正しく把握することが不可欠です。
経営者として、自社にとって最適なタイミングや進め方を判断するには、信頼できる専門家のサポートを受けつつ、市場の動きを見極めた戦略的な準備が求められます。
自社の未来と社員の雇用を守る選択肢として、M&Aの活用はますます有効な手段となっています。

当社では、のれん償却の最新動向を踏まえたM&A・事業承継のサポートを提供しております。
貴社のご状況に合わせた最適なアドバイスと実務支援が可能です。
M&A・事業承継をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。


当社では、M&Aに精通した経験豊富なコンサルタントが在籍しております。                                             是非、コンサルタントとの無料相談をご活用ください。


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